介護離職はNG!仕事と介護を両立させる3つの理解と3つの対策

kaigo

突然親に介護が必要になったら、どうしますか。

”いままで育ててもらった感謝を込めて、仕事を辞め手厚く世話をしたい”と
思う方も多いことでしょう。

ところがちょっと待ってください。

その優しさが、親も自分の家族も不幸にしてしまう
リスクをはらんでいることに気づいているでしょうか。

介護離職した多くの人たちが
”会社を辞めなきゃよかった”と後悔しているといいます。

下の表をご覧ください。

出典:三菱UFJ リサーチ&コンサルティング『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』(平成24年度厚生労働省委託調査)

出典:三菱UFJ リサーチ&コンサルティング
『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』(平成24年度厚生労働省委託調査)

三菱UFJ リサーチ&コンサルティングの調査によると、
介護を理由に仕事を辞めた人の6~7割が
経済面、精神面、肉体面での負担がかえって増えたと回答しています。

介護離職はすべきではありません。

介護と仕事は両立するべきですし、両立できるはずです。

それでは介護離職しないためにどうすればよいか。

それには事前に介護離職する人がしらない不都合な3つの真実があることを
事前に理解したうえで、事前に対策を立てておくことが重要であると考えています。

以下から事前に理解しておきたい3つの不都合な真実と
介護離職しないための対策について解説してまいりたいと思います。

介護離職する人が知らない3つの不都合な事実

kaigo

 

介護離職をする人が知らない3つの不都合な真実とは

  • 「経済的負担の増加」
  • 「介護ケアサービスの受給資格の喪失」
  • 「素人による不慣れなケアが招く不幸」

この3つです。

以下から、その不都合な真実を一つ一つ具体的に見ていきたいと思います。

①経済的な負担

まず1つ目の「経済的な負担」について。

質問ですが、介護にいくらかかるかご存じでしょうか?

在宅介護の場合、平均でかかる介護費用は月額で7万円といわれています。
これくらいならなんとか……と考えるかもしれませんが、
介護スタート時に介護用ベッドや室内のバリアフリー化などを導入する場合、
これとは別にまとまった金額が必要です。

出典:家計経済研究所『在宅介護のお金とくらしについての調査』(2011年10月分の実際の家計の支出について実施したインターネット調査)

出典:家計経済研究所『在宅介護のお金とくらしについての調査』
(2011年10月分の実際の家計の支出について実施したインターネット調査)

また、介護は平均何年続くかご存じでしょうか?
約4年という厚生労働省の数字がよく引用されますが、
これには末期がんなどによる短期間の終末期介護も含まれます。

実際の目安となるのは「平均寿命-健康寿命」で算出したもので、
女性は約13年、男性が約9年といわれています。

いかがでしょうか。
思った以上に介護は長丁場なのです。

介護に必要なお金は合計いくら?

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仮に介護期間がざっくり10年とした場合、
月額7万円だと一人当たり840万円になります。
(なお、この金額には、生活費は含まれません。)
これは現状の年収相当の金額が介護費用としてかかってくるということになります。

そうなると、親のためにと今離職することで、
将来あなた自身の生活が立ちゆかなくなるかもしれません。

どうしても、介護にはお金の問題がついて回ります。
それなのに、介護が落ち着いたら再就職を、と考える人も多いのですが、
無職の期間が長くなるほど再就職は難しいのが現状です。

そのため、「とりあえず」で仕事を辞めるのではなく、
どうしたら介護しながら仕事を続けていくことができるか
を考えるほうが
賢明といえるのです。

②介護ケアサービスの受給資格の喪失

不都合な事実の2つ目は、
離職したり親と同居したりすることで、
公的介護サービスが実質的に受けられなくなる
ことです。

「介護が必要になったら親を呼び寄せて同居しよう」と
考えている人もいると思いますが、
職についていない家族や同居家族がいる場合は介護人がいるとみなされ、
ヘルパーさんによる家事や体の介助といった生活援助系の介護サービスは
介護保険で利用することが実質的にできなくなります

また、将来的に、安価でサービスの充実した公的な老人ホームである
特別養護老人ホームに入ってもらいたいと思っても、
同居家族がいると、入居の優先順位が下がって入りにくくなってしまいます。
さらに、同居での介護は家族にも負担を強いることになるため、
親の介護が理由で介護離婚に至るというケースも少なくありません。

そのため、介護が必要になったとしても、
同居や実家の売却で費用を捻出するのではなく、
介護はアウトソーシングしてプロに任せ、仕事は今までのように続けるのがベストです。

たとえ同居したとしても、家族との折り合いが悪ければ親が田舎に帰ることもできるように、
親が住む場所の選択肢を残しておいたほうがいいと思います。

③素人による介護

不都合な事実の3つ目は、あなたが介護ではまったくの素人という点です。

優しいあなたは
親に介護が必要になったときくらい何でもしてあげたいと思うかもしれません。

でも、あなたは介護についてどれくらい知っていますか?
医療ならプロに頼もうと思うのに、なぜ介護は自分でできると思うのですか?
あなたが介護に慣れるまで親に我慢させて付き合わせる必要がありますか?

10年かけてあなたがようやくプロ並みの介護技術を身に付けるまでに、
双方が疲れ切っているという可能性がかなり高いのではといえるのです。

特に認知症などの場合、
知識のない家族がケアしてイライラを募らせ虐待につながることもあり得ます。

「自分はそんなことしない」と思っているかもしれませんが、
あるアンケートでは、認知症の家族を虐待しそうになったことがある、
と回答した人が79%にも上っています。

家族による虐待は、介護職による虐待の100倍以上も多く発生しているという報告もあるほど。
そんな悲しい親子関係にならないためにも、不幸のループは最初に断ち切っておくべきなのです。

介護離職しないための対策

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介護離職する人がしらない不都合な3つの真実を理解したうえで
介護と仕事を両立するためにはどうしたらよいかについて
述べてまいります。

①チーム戦で乗り切る

前にも書きましたが、素人の介護は介護する人、される人にとっても
大きな負担となり共に疲弊する可能性が大です。

最初から介護を「家族と介護サービスのプロによるチーム戦」と位置づけて、
日中は今までの仕事を継続していき、よりよい介護のスタイルを模索していくのが
双方疲弊が少なく、ベストであると考えるのです。

あなたやご家族が介護のプレーヤーになるのではなく、
混成された介護チームのマネジャー
になって
介護に関わる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を把握して
それぞれの資源を成長させていくべきです。

実際に、職場で優れたマネジャーとして活躍されている方には、
介護と仕事の両方を自らが行おうとせずに、
介護をプロに任せて上手に負担を分担している方がいらっしゃいます。

もちろん、仕事でマネジャーの経験がない方でも、
介護を通じてマネジメントのスキルを体得することができます。

「介護はチーム戦で乗り切る」これが大切な考え方です。

②介護休業制度の活用

介護休業制度についてあらかじめ理解しておくことも
いざというときに役立ちます。

介護休業制度は一般的には「育児・介護休業法」と呼ばれています。

要介護状態の家族を介護している労働者が、雇用主に対して申請を行うことで
対象家族1人につき最大通算93日の介護休業が取得できます。

また、買い物や通院の付き添い、介護などを行うために
年間5日まで介護休暇を取得することも定められており
働きながら介護を行うことに対し企業側も労働者の雇用を守るための処置が求められています。

こうした制度を利用して、負担のかからない介護を実践することができるようになります。

「育児・介護休業法」のあらまし

③相談者を持つ

家族など他に地域の中にも相談者がいると心強いです。

そのひとつが、各市町村に設置されている
地域包括支援センターや役所などの介護相談専用の窓口
です。

また、通院先の病院に所属するソーシャルワーカーなどの専門職員、
さらには、要介護者を担当しているケアマネジャーも、介護者にとっては貴重な相談相手です。

ケアマネジャーには原則として守秘義務もあるので、
介護生活の中で最も身近な相談相手の1人にもなり得るでしょう。

その他、会社の上司はもちろん、
人事担当者とも日頃からパイプを持っておくと
いざというときに頼れる存在になってくれることでしょう。

相談者を複数持つことは誤った介護に陥らないためにも重要なので
意識して相談者を持つようにしましょう。

まとめ

突然の介護になった場合、あわてて介護離職すると
介護者、被介護者共に疲弊してしまい、共倒れになってしまうケースが
多々見受けられます。

そういった状況を防ぐために

介護離職者がしらない不都合な3つの真実として

  1. 「経済的負担の増加」
  2. 「介護ケアサービスの受給資格の喪失」
  3. 「素人による不慣れなケアが招く不幸」

この3つを理解していただいたうえで

介護と仕事を両立するための3つの対策

  1. チーム戦
  2. 介護休業制度の活用
  3. 相談者を持つ

以上3つを事前に心がけて対策にして頂きたいと
述べてまいりました。

是非、介護する人、される人が共に納得できるような
生き方を実践できるように事前理解をよろしくおねがいします。

この文章を読んで頂いてありがとうございました。

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