「医療費控除」という言葉は知っているけど、面倒くさくて
申請したことはないという方も多いかと思います。
「医療費控除」は医療費がたくさんかかった場合、
税金が還付されたり、減税されたりするお得な制度です。
この「医療費控除」を理解するには3つの大きなキーワードを押さえていけば
何にも怖くはありません。
そこで、ここではお得な制度である「医療費控除」を3大キーワードを中心に
解説してまいりたいと思います。
目次
医療費控除の3大キーワード
医療費控除を申請するべきかどうかは以下の3つのキーワードを理解しましょう。
そのキーワードとは
- 総医療費10万円
- 家族
- 確定申告(サラリーマンは還付申告)
です。
この3つについて以下から解説してまいります。
1.総医療費10万円
医療費控除額(最高200万円)=(その年中に支払った医療費の総額ー保険金額などで補填される金額)-10万円
この式が医療費控除の算出式です。
この式からもわかりますように10万円以上医療費を支払った場合、
ザックリですが医療費控除の対象となると考えてください。
尚、例外として総所得が200万円未満の方は10万円ではなく、
所得の5%にあたる額が医療費控除の対象になります。
2.家族
医療費控除はあなた本人の医療費だけではなく
「生計を一にする配偶者やその他の親族」
ということなので
下宿中の大学生の子どもや単身赴任中の配偶者のために支払った医療費も対象に含まれます。
世帯で年間に支払った医療費が対象となるというわけです。
3.確定申告(サラリーマンは還付申告)
医療費控除というと支払った医療費がそのまま戻ってくると思っている方も
多いかと思いますが、そうではありません。
医療費控除は確定申告が必要になります。
確定申告して、税金の支払い対象となる所得から差し引かれるということです。
つまり、税金を支払わなければならない対象の金額が減るので、
個人事業主の人は、結果として支払うべき税金も減るというしくみです。
サラリーマンなどの組織に勤めている人は「還付申告」という年末調整と同じような感覚で、
既に納税された所得税が還付されるという仕組みになっています。
医療費控除の対象となる医療費
うえにあげた3つのキーワードでざっくりと医療費控除をご理解いただいたかと思います。
ここからは、医療費控除の対象となる医療費とはどんなものなのかを見ていきたいと思います。
医療費控除の対象 | 主な具体例 |
治療・診療・療養費 | ・医師や歯科医師による診療や治療の対価 ・治療のためのあんまマッサージ指圧師、 はり・灸師、柔道整復師などによる 施術の対価 ・出産費用 ・療養上必要な差額ベット代 ・レーシック手術費用 ・不正咬合の歯列矯正等 |
交通費 | ・通院にかかる交通費(電車やタクシー代) |
医療器具・医薬品 | ・義手、義足、松葉づえ、義歯や補聴器等の購入費用 ・かぜなどの治療のために購入した一般的な医薬品 |
その他 | ・保健師、看護師、准看護師、 または特に依頼した人に支払う療養上の対価 ・6ヵ月以上寝たきりの人のおむつ代 (医師が発行した証明書が必要) |
以上が主な医療控除対象のものですが
項目がかなり幅広いので、医療にかかった費用の領収書はすべてとっておくことを
徹底してください。
交通費の扱い
病院や医療機関に向かうため、公共の交通機関に支払った金額は
医療費控除の対象となりますが
通院のたびに領収書をとるということは、現実的ではありませんね。
そこで、通院にかかった交通費はメモとして残しておきましょう。
例えば普段、病院までの往復でバス代が500円かかっていたとして、
通院日が20日であるなら10,000円が医療費控除の対象となります。
また、これとは逆に医療費控除の対象とならない交通費もあります。
例えば
- 緊急性のないタクシー代金
- 実家で出産するための帰省にかかる交通費
- 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
これらは対象外ですので注意しましょう。
医療費控除の対象外となる医療費
医療費控除の対象外となる主な医療費を表にしました。
医療費控除の対象外 | 主な具体例 |
治療・診療・療養費 | ・美容整形の費用 ・美容のための歯列矯正 ・疲れを癒したり、体調を整えたりといった 治療に直接関係のない施術費用 ・疾病の発見がなかった 人間ドックや健康診断の費用 ・本人や家族の都合による差額ベット代 |
交通費 | ・自家用車で通院した場合の ガソリン代や駐車料金 ・緊急性のないタクシー料金 ・出産のための帰省交通費 |
医療器具・医薬品 | ・治療に直接関係のないメガネや補聴器の費用 ・疾病の予防や健康増進のための医薬品購入費用 |
その他 | ・未払いの医療費 ・親族に支払う療養上の謝礼金 |
医療費控除の対象とならないものは、
自己都合のものや、直接治療とは関係のないもの
ということをしっかりと押さえましょう。
医療費控除の申請のやり方
それでは実際に医療費控除の申請はどのようにすればよいのでしょうか。
医療費控除は前にも言いましたように確定申告が必要です。
確定申告の際には以下の書類を用意します。
- 確定申告書A
- 医療費控除の明細書
- 医療費の領収書、レシート等
- マイナンバーなどの本人確認書
- 医療費通知書(健康保険組合などで配布している「医療費のお知らせ」)
- 源泉徴収票
このうち確定申告書と医療費控除の明細書は、国税庁のサイトから入手することができます。
なお、医療費控除の明細書の記入内容を確認するために、
税務署から医療費の領収書の提出、または提示を求められる場合があります。
そのため、医療費の領収書やレシートは、
確定申告期限の翌日から5年間、大切に保管しておくことをおすすめします。
医療費控除の申請期限
医療費控除の期限ですが、サラリーマンの方などの「還付申告」の場合には
1月から申告することができます。
医療費がかかった年の翌年から5年間が申告期限となるため、
2020年1月1日~12月31日までの医療費控除の申告は2021年1月1日~2025年12月31日となります。
また、個人事業主やフリーランスの方は「確定申告」になりますので
2020年1月1日~2020年12月31日までの分は2021年2月16日頃~2021年3月15日頃となります。
まとめ
いまさら聞けない「医療費控除」を3大キーワードを中心に解説してまいりました。
「医療費控除」を理解するうえで重要な3大キーワードとは
- 総医療費10万円
- 家族
- 確定申告(サラリーマンは還付申告)
以上になります。
定義づけるとその年の1月1日~12月31日の一世帯(扶養家族おを含む)でかかった
医療費の総額が10万円以上かかった場合(総所得200万円以下は所得×5%)
超えた金額に対し、個人事業主やフリーランスは減税、サラリーマンは還付されるのが
医療費控除になります。
もし、あなたが「対象かも?」と思ったら、国税庁のwebサイトから必要書類を作成して
個人事業主、フリーランスは期間中の確定申告、サラリーマンの方は5年間の申告期限内に
還付申告を忘れずに行いましょう。